事件被害者の気持ちを救いたい

被害者の気持ちを救いたい

弁護士でもなく警察官でもなく、一民間人に過ぎない元刑事の老兵の私が、探偵業界の中でも商品としてとくにパッケージングされていない、この様な仕事を何故はじめたのか?

現役時代、私は刑事として多くの被疑者を検挙しました。反対に、被害として受理していても未解決なまま退職せざるを得なかった事件もありました。それと同時に、様々な理由で刑事事件として受理することができず、肩を落として帰って行く相談者を見送らなければならないケースも少なからずありました。どうにかしてあげたいと思いつつどうにもしてあげれなかったことが、やりきれない思いとして残りました。刑事事件として受理できれば、たとえ自分が未検挙でも、優秀な後進に引き継ぎいつか答えを出すことができます。ですが、受理できずに見送らなければならなかった相談者には、寄り沿う組織や人があるのか、という思いが常にやりきれなさとして心に残ったものです。情として忍びがたい状況があったとしても、厳然と出来ることと出来ないことを峻別しなければならないし、もとより、法の執行機関であり全体の奉仕者である警察が法からはみ出しては何も守れません。
警察という強力な強制力をもった組織、必要な訓練を受け武器を携行した警察官は、警察という組織として日本の法の範囲内、法と職務と命令によってコントロールされています。その強制力ゆえに完全な形での警察業務の民間委託は、物語の中でしか存在し得ません(アメリカ等では古くから有りますが)。
しかし、警察力では守れない安全、補えないトラブル、立証したい事実などは世間には多く存在します。警察力だけでは行き届かない安全があるからこそ、民間の力でそれを守る為に警備業、ガードマンが存在するように、警察力だけでは行き届かない警察未満かも知れない問題に寄り添うサービスも必要と考え、この事務所をはじめました。

警察捜査からこぼれる事件

令和元年版の法務省犯罪白書では、令和30年の殺人事件の検挙率は96.8%。日本の警察は相変わらず優秀であります。しかし、優秀という言葉は完璧という意味ではありません。例えばかつて強姦罪と呼ばれた強制性行等ですが、前述犯罪白書に記載された令和30年の検挙率は91.0%と高い数字です。もちろん私も現役時代、強姦罪は指定重点犯罪として全力でホシを追ったものです。しかし、検挙率とはあくまで被害の届け出が分母となった統計です。

例を挙げます。性犯罪の犯人が被害者の知人、友人、上司、同僚だったら・・・届け出することにためらう被害者は少なくありませんでした。悩みに悩んだ末、発生半年後一年後に届け出してきたとします。被害者の身体に、あるいは現場に、証明力のある証拠資料は見つかりません。

被害者の訴え出に真実を見た刑事がこの困難な事件の捜査に着手しようと、事件を送致する先の検察官に意見を求める相談をしたとします。ほぼ、起訴は無理、送致することに難色を示されることになります。警察捜査と検察官の公訴は、重要事件であればあるほど密接不可分です。結局ようやく決心して届け出たとしても、担当した刑事から「立証無理」と言われることになります。百歩譲って起訴されたとして裁判になったとしても「疑わしきは罰せず」の推定無罪となる可能性が高いでしょう。

こうして、この被害届は受理されなかったり、場合によっては、逆に届け出た被害者側が、かつて誣告と呼ばれた虚偽告訴の疑いをかけられたりすることにもなりかねません。これはあくまでも一例ですが、性犯罪のみならずあらゆる罪名において、こういうことが起こりまえす。こうして、被害者がいる事件なのに、捜査からこぼれる事件が出てしまうのです。しかも、犯人が誰かわかっているのに・・・。

着地点は一つではない

刑事事件を例にとりましたが、無限の時間の連鎖であるあなたの人生、あなたの歴史は、この被害にあった瞬間の1頁、1行で終わりではありません。明日も明後日も元気に生きていけるのです。被害にあうということは、前述の通り大きな損害を受けた一つの負け戦ではあります。ですが、あなたは殺人事件の被害者のようにセカンドチャンスまで奪われた負け方をした訳ではありません。もう一度立ち上がることができます。刑事罰だけが落とし前のつけかた、解決策ではありません。相手がわかっているならば民事で反撃することも可能です。

もし反撃に必要な戦術の選択、証拠資料の整理、勇気の再補充、それをあなたが望むならば、まずは相談してみてください。

「戦いで敗れたら外交で勝て」 マキャベリはそう言いました。

着地点は一つではありません。ぜひ相談してみてください。
民間機関として被害者の心の平穏を取り戻せるよう事件相談というこの仕事はじめました。あなたの軍師としてお役に立てれば、と思っています。